帝国主義

コスモポリタン 1992年のソ連崩壊以降、共産主義国として残った国はありますが、もはや新しく共産主義を採用する国はまず現れないと思います。これが起きたのはやはりソ連の国の運営に問題があったと思います。

ただ、これをもって共産主義またはマルクス・レーニン主義が誤りかといえば必ずしもそうともいえないと思うのですが

別宮 共産主義を採用するというより、共産主義者による暴力革命が成功するかという点でしょう。

暴力革命についてですが、マルクスは革命が全て暴力によるとはみなしていませんでした。レーニンこそがそうみなしたんです。それが帝国主義論です。レーニンの帝国主義論の基礎には先進工業国が「金融資本段階」に入ったという認識があります。これは何かといえば銀行家が国政を牛耳るようになったというものです。

これは今からみれば「トンデモ」論です。銀行家というのはドイツを除けば低姿勢なもので、常に認可業者にたいする生殺与奪の権を握っている監督官庁に汲汲としているものです。日本では、UFJ銀行の頭取が検査妨害をやって、牢屋にぶち込まれたのは、ご承知の通りです。

コスモポリタン レーニンは金融資本がそそのかして帝国主義戦争を引き起こすと『帝国主義論』で述べていますが、じっさいにはどのように金融資本段階に入った帝国主義国家と戦おうとしたのでしょうか?

別宮 レーニンはドイツで革命が起きることを期待しましたが、その死後はスターリンがあとを継ぐことになりました。スターリンのいわば外交政策になりますが、内容はコミンテルンの宣言に要約されていると思います。1932年の綱領は次の通りです。

「国家権力は、金融資本的寡頭政治の独裁であり、またその集中化した権力の表現であるが、いまやブルジョワジーにとって、特別の意義をもちつつある。

この帝国主義的国民国家の諸機能は、あらゆる方向に拡大されている。

すなわち、国家資本主義的諸形態はますます発展し、外国市場にたいする闘争(経済の軍事的動員)ならびに労働者階級にたいする闘争を容易ならしめる。軍国主義(陸海空軍・化学および細菌の使用)は著しく増大する。労働者階級にたいする帝国主義国家の圧迫(搾取の増大・直接的抑圧ならびに官僚的=改良主義的上層部買収の組織的政策)が強化される。

すべてこれらは、国家権力の特別の重力が強力に増大したことを表現するものである。かくのごとき条件の下において、プロレタリアートの多少とも意義ある行動は、全て国家権力に対抗する行動・すなわち政治行動になる」。

コスモポリタン でもこの中に幾ばくかの真実もあります。

別宮 ある一定の見方からすればそうでしょうか。でも、現れてくる現象は労働者の絶対的窮乏化と国家権力の逓増的増加の二つが中心です。ところが、この二つとも事実と合致していません。

戦間期では普通選挙、婦人参政権の拡充が行なわれ、また(改良主義的ですが)社会主義政党が政権を担うに至っています。そして、労働者への分配の比率は、戦中の労働力の逼迫により、むしろ上がっているのです。

すなわち、コミンテルンの現状分析は誤っているとしか思えないのです。

コスモポリタン ですから、スターリンのとった政策は失敗であって、それが1992年につながったのでしょう。それと決別すれば正しい共産主義は新たに構築できると思います。

別宮 ウ〜ン、絶句しますね